ボンドストリートシアター(NY)+エグザイルシアター(アフガニスタン)「ビヨンド・ザ・ミラー」

“Beyond the Mirror”
Bond StreetTheater(NY)+Exile Theatre(Afganistan)  
 
Exile Theatre (Afghanistan) --
Director Mahmood Shah Salimi
Actor Mohammad Jamil、Abdul Salim
Actor, Musician Ahmad Zia、Anisa Wahab
◎Bond Street Theatre (USA)--
Director Joanna Sherman
Managing director Michael McGuigan
Performer Christina Gelsone
Musician Andy Teirstein  

  「ビヨンド・ザ・ミラー」は、アフガニスタン史の過去30年を占める戦争と占領の事態を考察する作品である。抑圧的なソヴィエトによる統治、ムジャヒディーンの混沌と蛮行、タリバン時代の極度の制限、更には現政権の曖昧な状態。この作品は、イグザイル・シアターの感情表現法とボンド・ストリート・シアターの身体表現法を、その創作に反映している。主として言葉によらず、象徴的な表現や強制的な表象、両劇団の身体的及び音楽的技術を使って、生き延びるための苦闘と人間的精神の源の生々しい描写を創出する。  
       
 
◎Bond Street Theatreボンドストリート・シアター プロフィール
1976年創立。独自の演劇作品を創造すると共に、古典テキストに革新的なアプローチを行い世界中でパフォーミング・アートのプロジェクトを複数創り出している。中国・ブラジルなど多くの伝統的な身体・身振りによる表現(フィジカル・アート及びジェスチェラル・アート)を訓練することで、言語や文化の国境を超えて人々の心を捉え理解される劇言語を開発しようとしている。彼らの作業の基本には、生命に形とダイナミズムを与えるジェスチェア、儀式、象徴、遊戯などがあるが、それらが、竹馬やアクロバットや仮面、音楽、人形劇やダンスといった印象的な演劇形式と相俟って質の高い作品を創り出している。作品は多くの国々の演劇祭で発表され、1990年には、多様な文化や規律が相互に混ざり合うその革新的なプログラムが評価されてマッカーサー賞を受賞した。
1984年、ボンドストリート・シアターは初のイスラエル人とパレスチナ人によるストリート・シアターをエルサレムで創設した。以来、ベルファストやコロンビア、カナダで民族混合のアート・プロジェクトを複数行っている。また、2000年には、ブルガリアの人形劇団Theatre Tsveteとのコラボレーションを行い、言葉によらない「ロミオとジュリエット」をコソボ危機に呼応した作品として仕上げた。この作品は2001年から2003年にバルカン諸国とアメリカ合衆国でツアーを行った。2002年、the Performing Artists for Balkan Peace(バルカン半島の平和のためのパフォーミング・アーティスト達)という集団を創設。これは、旧ユーゴスラビアの平和と民族相互のコラボレーションに献身するアーティスト達のネットワークである。9.11の後、パキスタンのアフガン難民キャンプで公演。2003年にはアフガニスタンに赴き、難民キャンプで出逢ったアフガニスタン人グループ、エグザイル・シアター(Exile Theatre難民劇場)とのコラボレーションを行った。このニ劇団は、オリジナルの演劇作品をふたつ創作しアフガニスタン国内でツアーを行った。ボンドストリート・シアターは、アフガニスタンに新たな演劇的展望をもたらしたとして、アフガニスタン文化省より賞を与えられた。  
http://www.bondst.org/

Exile Theatreエグザイル・シアター(Afganistan) プロフィール
  2000年にパキスタンのぺシャワールで設立されたアンサンブル・シアター。タリバン政権があらゆる芸術を禁止した際に強制出国させられたアフガニスタンの複数の劇団、映画・テレビのアーティストや作家達から成る。難民生活の間に劇場芸術を復興するために、この組織が設立された。この難民生活の中で、彼らは長短合わせて15の芝居を含むプログラムを6つ創作した。2002年春、パキスタンで最後の公演を行っている最中に、その政治的な内容のためにパキスタンの警察及び情報局に演劇活動を止められた。彼らの作品は、政治、社会、経済、文化の諸問題やアイデンティティーの危機を取り上げている。言葉による演劇の他、マイムや音楽も用いている。
アフガニスタンに臨時政府が樹立した後、エグザイル・シアターはカブールへ帰還。2003年6月から7月にアメリカのボンドストリート・シアターとコラボレーションを行い、カブールでの第1回作品として、言葉ではなく身体による抽象的なスタイルを使った「イン・ザ・ミラー」及び「ガーデン・パーティー」を制作した。第2回作品「ザ・サーチ」は、2003年10月7日、アフガニスタンの「芸術の日」に上演された。この作品は、歴史的組成物、宗教・政治・金の三角関係を探求する人間について、これも言葉によらないスタイルで作られた。

エグザイル・シアターは、様々な異なるジャンルの芸術を用いて、リアリズムや表現主義象徴主義といった芸術の諸流派から、そのメッセージと見解を伝達しようとする。本来、物語を語る静的な演劇というよりは、ダイナミックな演劇であり、写真や映画、舞踏、アクロバット、スポーツなどを作品及びトレーニング・プログラムに使用している。そのスタイルとテーマ故に、アフガニスタンの伝統演劇との関係においてオルターナティブ(新しく)かつ実験的である。